リングやネックレスのように小さくて光るものは、撮る難易度が高い被写体です。
実際の撮影カットを見ながら、現場でやっていることを3つ説明します。特別な機材の話は出てきません。
1. リングは、練り消しで立たせる
リングを平らに寝かせて上から撮ると、輪の形は分かりますが、石がほとんど光りません。表面が上を向いていないので、光を返さないからです。
かといって、そのまま立てようとしても倒れます。ここで使っているのが練り消しゴムです。
小さくちぎって、リングの下、接地する部分の裏側に仕込みます。外からは見えません。これで好きな角度に固定できます。
練り消しを使う理由
- 角度を無段階で変えられる―指で押すだけで倒れ具合を調整できます
- 跡が残らない―テープや接着剤と違い、剥がしたあとが残りません
- 何度でも使える―商品を変えても同じものを使い回せます
- 写り込んでも目立たない―白や薄いグレーを選んでおくと安全です
注意すること
やわらかすぎるものは、撮影中に少しずつ沈んで角度が変わります。数カットごとに確認してください。
それから、撮影後は必ず拭いてください。油分が地金に残ります。商品として売るものなら、これは省けません。
2. 余白は、商品を小さくするためではない
同じリングを、今度は引いて撮ったカットです。画面に占める面積は、さっきの写真よりずっと小さい。
それでも、見た人の視線は最初にリングへ行きます。まわりに何もないからです。
余白は「商品を小さく写すこと」ではありません。視線を集めるために、他のものを画面から出すことです。小さく写っていても、見るものが一つしかなければ、そこに目が行きます。
SNSでは、余白のある写真が残る
Instagramのフィードでは、自分の投稿は他の投稿と一緒に流れていきます。画面いっぱいに情報が詰まった写真が並ぶ中で、余白のある一枚は、そこだけ空気が変わって見えます。
その結果、スクロールの速度が一瞬落ちる。SNSで効くのはこの種の写真です。
ただし、使う場所を選びます
ネットショップの1枚目、一覧に並ぶサムネイルには向きません。小さく表示されたとき、何の商品か分からなくなるからです。
一覧のサムネイルは寄りのカット、SNSやページの冒頭は引きのカット。両方撮っておいて、使い分けてください。
3. ゴールドは、肌にのせて色が決まる
ゴールドを白い背景に置いて撮ると、ほとんどの場合、黄色が強く浮くか、逆にくすんで見えます。白は、金の色を判断する基準にならないからです。
肌にのせると変わります。肌の色と金の色は近いところにあるので、互いを打ち消さずに馴染む。そして何より、買った人が実際に見るのは、肌の上にあるゴールドです。
光は斜めから、影を残す
この写真は、窓から入る光を斜めに当てています。手前に影が落ちているのが分かると思います。
金属の艶は、明るい部分と暗い部分の差で見えます。全体を均一に明るくすると、艶が消えて、のっぺりした金色になります。影は残してください。
手は、力を抜く
着用カットで失敗しやすいのが、手に力が入ることです。指を揃えて伸ばすと、商品より手のほうが目立ちます。
軽く曲げる、少し重ねる、動きの途中で止める。手は商品を置くための台だと考えると、力が抜けます。
まとめ
- リングは練り消しで立てる。角度を作らないと石が光らない
- 撮影後は油分を拭き取る
- 余白は視線を集めるためのもの。SNS向きで、一覧サムネには不向き
- ゴールドは肌にのせると色が決まる
- 光は斜めから当て、影は残す
- 着用カットでは手の力を抜く
どれも道具を買い足さずにできることです。小さなものほど、撮る前の準備で差がつきます。
ROOM NOTE STUDIOは、写真を起点にWebとSNSをつくるスタジオです。ジュエリーやアクセサリーの商品撮影から、ECサイトやInstagramでの見せ方までご相談いただけます。撮影だけのご依頼も承っています。
ご相談はこちら →